「石切のおでん」は、いわれのある「縁起のおでん」です

「石切のおでん」は「切り身が入っていないんです!!」 牛スジ、たこの足など・・・これは当地ならではの由来が関係しています。

おでんは全国に家庭や地域の数だけ種類がありますが、「石切のおでん」も特徴あるご当地おでんのひとつです。 当地のおでんは”石切さん”と親しみをもって呼ばれる「石切劔箭神社の病気平癒の御利益にあやかった縁起のおでん」になります。

石切さんは“でんぼ”の神様”と古くから慕われ信仰を集めており、 “でんぼ”は、大阪弁で“できもの”のことで病気平癒、特に手術前などにご参拝される方々も多くいらっしゃいます。お体に負担の少ない消化のよいものを、との思いはもちろんのこと”体を切る”ことを想起することのないよう切り身を入れないおでんをご提供しています。



お味は、関西では珍しい、甘く濃い味付けの“関東煮”

おでんの具材といえば、その土地で採れた具材が使われることが多いです。「石切のおでん」に入っている具材は、当地が山野辺に位置し、海も牧場も遠い土地柄であることから、ジャガイモや大根、卵、練り物などあっさり目の具材が中心です。

これらのあっさり目の素材の旨みとのバランスから、甘く濃いめの「関東煮の味付け」となっており、薄味あっさりで透明感のある出汁を利かせたものが主流の関西のお味とは真逆の味わいが特徴のおでんです。



炊き上げに、とても技術のいるおでんを守り続けています。

おでんの鍋といえば、四角の鍋に間仕切りをし具材自体を整理して並べたおでんを想像されませんか? 「石切のおでん」は、地域全店で大きな丸鍋を使っておでんをご提供しているのもひとつの特徴です。

大きな丸鍋を使って、ぐつぐつと煮込みながらおでんを炊き上げていくには火と味のバランスや具材の煮崩れを起こさせないなど、絶えず手をかけることが必要で、そのため手間ひまがかかる丸鍋で炊くおでんは、他の地域では敬遠されがちです。

当地は具材の味が混ざり合う美味しさを「石切の味」と感じてもらえるようこだわりとして守り続けており、その炊き込んだおでんは、病気平癒の御利益の石切神社のお百度参りや坂に位置する当地の散策で、疲れた体に染み込む優しさと昔ながらの懐かしさ、風情感じる味わいです。



「石切のおでん」は、「100年以上続くご当地おでん」です。

でんぼ(できもの)の神様として関西では有名な石切劔箭神社の参詣道はかつて高野山へ参る東高野街道の旅の寄り道としても人を集め 昔昔より旅籠や商店、飲食などが軒を連ねる観光地として、また大阪と奈良を結ぶ近鉄電車が開通し100余年、地下鉄や高速道路と様々な交通アクセスの良さもあり、百数十軒の店舗が来街の方々の癒しの場として栄えて参りました。

当店「すずや」は今では当地の飲食店としては一番古く、明治末期の創業になります。当時からずっとおでんをお出ししております。またそれ以前にも当地にはおでんをお出しする数多く飲食店があり、百数十年、街として変わらぬ味を提供しております。毎日、病気平癒の御利益を求めてご来街される沢山の方々の健康のお祈りに寄り添い石切劔箭神社の御利益にあやかり作った関東煮風のおでんを今に守り受け継いでおります。

ご来街のお客様からは「パワーフード」として長年親しまれ地域の風情を凝縮した「当地に欠かせないアイコン料理」ともなっております。

※各店、味付けに違いがありますのでそれぞれのお店のお味を巡られるのも石切散歩の楽しみのひとつかと思います。またご時世もあり、お持ち帰りや店外で召し上がっていただくことも店舗ごとで可能な場合もあります(当店は両方可能です)、各店にてお尋ねください。 ここでしか味わえない味、「縁起の石切のおでん」。地域の風情を感じて召し上がっていただくことでさらに美味しさが増します。 石切へお越しの際は、ぜひ賞味くださいませ

吉日


石切参道神社前
お食事処 すずや×石切丸
店主 小西学