2020-02-27

“ 職人の感覚 ”は引き継ぐことが難しいから…

今日の訪問先は横山製作所。以前から新設備の登場を取材してまいりましたが、先日いよいよ搬入の日を迎えました。

横山さんと言えば汎用旋盤や汎用フライスを使いこなしての外径加工、スロッターでの内径加工がお得意です。そんな横山さんがNC複合機を新しく導入。今はお一人で工場を営まれており受けられるご相談が限られるため更に仕事の幅を広げたいという狙いもありますが、横山さんにはもう一つの狙いが。


横山さん

「今の僕の仕事は、長年の経験から得た感覚に頼る加工が多いです。でもこの『感覚』は簡単に引き継ぐことはできません。横山製作所を残すために、3年後には若い職人さんを入れて継承したいと思っています。機械は優秀。プログラムを組めればものを作れます。もちろんこれも決して簡単なことではありませんが、より早く自分でものを作れる環境を作りながら、自分のノウハウを引き継いでいけたら。将来自分が身を引いてからは技術を伝えて教える側になりたいんです。今回の設備導入はそのための準備のスタートとも言えます。」


汎用機を使いこなす生粋の職人さんである横山さん。技術伝承を考えた時にハードルがあると感じていたのですね。

―具体的にどんな加工が可能になるのでしょうか?


横山さん「たとえばお写真のような商品です。」

「今ある2軸のNC旋盤や汎用機での加工も不可能ではありません。ただし、写真のような加工となると汎用フライスで角度を見ながら削っていく必要があります。この角度の調整も手加工。手が何度も加わると時間もかかります。うちへのご依頼は小ロット×急ぎの依頼が多いんです。技術的には可能でも、急いでいるお客さんに対して応えられないのはできないことと同じですから。4軸のNC複合旋盤が入ったことで、今まで汎用旋盤→NC旋盤(2軸)→NCフライスに付きっ切りで行っていた加工もプログラムを入れれば一発でやってくれるようになります。」

自ら手を動かして素材の表情を見ながら加工してきた昔の職人さんたちの技術は尊い。同時に時代はどんどん変化し、昔は人の手でしかできなかったこともマシンやロボットが代わってくれうようになりました。横山さんのような熟練の職人さんが「新しい技術に頼りながら、新しい仕事を取りに行かなければならない」と積極的に新しいことにチャレンジする姿はとても説得力がありますね…。


来月はこの『新たな相棒』と仕事をスタートさせた横山さんの仕事の様子を取材しに参りたいと思います。今月もありがとうございました!