2019-11-15

ドイツで生分解性樹脂について学んできました。

ドイツまで出張に行かれたという赤坂さんにお話を聞いてきました!

ー今回はドイツへ行った目的は?
「デュッセルドルフで開催された『K2019』という展示会に行ってきました。『K』はドイツ語でプラスチックを意味する”Kunstsoff”の頭文字。3年に1度開催される業界最大規模のプラスチックとゴムの展示会で3万社以上が出展していました。私が携わっているのは射出成型の金型なのでその勉強のための出張で特に”生分解性樹脂”を見てきました。」


ー生分解性樹脂、わかるようなわからないような…

「日本でもプラスチックゴミ問題が最近よく話題にあがるようになりましたが、海外では更に大きく取り上げられています。ウミガメの鼻にプラ製のストローが刺さっている写真が話題になったのを覚えている方も多いのでないでしょうか。生分解性樹脂というのは、木のように朽ちる樹脂。プラスチックの種類や製品の形状によりますが、コンポストで3~6週間、土の中で約3年、海水中だと約5~10年くらいで生分解します。袋やストロー、トレー、ボトルなど、具体的な製品化も進んでいて、フランスでは生分解性樹脂を50%以上使っていないと使い捨ての食器として使わせないという法律もできているほどです。」


ードイツへ行くと決意したきっかけはあったのでしょうか?
「2016年、前回の『K』の開催後、あるセミナーで『K』に行かれた方の講演を聞く機会がありました。そこで、ボトルのキャップを2秒ほどの一瞬の間に240個成形するオーストリアの企業の動画を見たんです。大きな衝撃を受けて、これはヨーロッパ行かなあかんなと思ったんです。次回、つまり2019年は絶対に行くと心に決めて、2年以上積み立てをして…笑 念願のドイツへの学びの旅が実現しました。」

写真のシャンパングラスは日精樹脂工業株式会社様が作られたもので、生分解性樹脂でできています。


ープラって今や悪者のような印象もありますよね。

「そうなんです。悪者になりかけていますがプラスチックによる成形品は絶対に無くしようがないです。大陸であるヨーロッパでは10億人を超える人に水を飲ませなければいけない、注射を打たなければいけない、こういった理由から使い捨ての成形品が山ほど必要。一方で冒頭のウミガメのお話にもあったように生物を苦しめている。だからヨーロッパでは特にリサイクルに力を入れているのですが、災害などで意図せず海や川に流れてしまうこともあるし、文化的に『ごみを自然に捨ててはならない』という教育を受けない国もあります。そんなケースのために生分解性樹脂は必要だと言われています。」


ー今、何がハードルとなっているのでしょうか。

「生分解性樹脂での成形が技術的にまだまだ簡単とは言えないこと、そして材料が高価であることですかね。害があるから無くすと言葉で言うのは簡単なのですが、先ほどお伝えしたように成形品を完全に無くすというのは現実的に難しいですから。どうやって課題をクリアして向き合っていくのかを考えること、そのためにまず学ぶことが私たちの役割だと思っています。」

-貴重なお話ありがとうございました。